「結婚していると知らずに性的関係を持ってしまった、離婚した元妻から訴えると言われている。」
居酒屋で知り合った男性店員と性的関係を持ってしまったという女性からのご相談です。男性は、知り合ったときは結婚もしていないし彼女もいないと話していました。ところが、男性の妻から電話がかかってきて、既婚者であることを告げられたそうです。
すぐに男性との関係を切り、「店員と客の関係に戻った」そうですが、その後妻から訴えると連絡がありました。男性は既に離婚しているそうですが、既婚者と知らなかった場合でも、慰謝料を請求されることはあるのでしょうか。
慰謝料の請求が認められるのは、「故意」があった場合
今回のケースで、慰謝料請求が認められる可能性は少ないでしょう。相談者の女性は、安心していいと思います。
不倫の慰謝料請求の根拠は、民法上の不法行為にもとづく請求ですが、この請求が認められるためには、加害者(不倫の相手方)に故意・過失があったことが必要になります。
今回のケースで、男性が既婚者であることを知らなかったのですから、故意があったとは言えません。
また、そもそも交際にあたり、相手に配偶者がいるかどうか調査する義務はありません。そのため、女性には過失がないと考えられます。
妻がいることを知った後はどうするべきか
では、男性の妻からの電話で、男性に妻がいることを知った後は、どう考えればいいのでしょうか?
この場合、交際を続けると、「既婚者と知ったうえで交際している」ことになるので、「故意」があったとして、不法行為にあたり、訴えられた場合は慰謝料の支払いを命じられる可能性はあります。
また、不貞の慰謝料請求は、離婚にまで至ると慰謝料額が高額になる可能性もあります。男性にもきちんと話をして、交際当時、配偶者がいることを黙って交際をしていたという陳述書や、事実の確認書など証拠になるものを収集して、裁判でも証人になってくれるよう頼んでおくことをおすすめします。
●「既婚の事実をしらなかった」場合、慰謝料請求はされない可能性が高い
●「既婚の事実を知った後」に交際を続けることは、「故意」にあたる
●事実を知ったあとは、相手ときっちり話をし別れ、証拠になるものを収集することをお勧めする