コンビニコーヒー、100円カップに150円分注いで逮捕

刑事事件

コンビニで100円コーヒーのカップを購入したにもかかわらず、150円分のコーヒーを注いだとして、70代の男性が窃盗の疑いで、福岡県警に現行犯逮捕されました。
男性は、Sサイズのコーヒー代100円を支払ってカップを受け取ったが、コーヒーマシンで150円のMサイズ分のコーヒーを注いだ疑いが持たれています。

店側は、この男性によるコーヒーの不正購入を確認したため、店内で注意の貼り紙をしていました。しかし、その後も男性が同様の行為を繰り返したため、店側は警察署に相談したようです。相談を受けて張り込みをしていた警察官が、SサイズのカップにMサイズ分のコーヒーを注ぐ男性の姿を確認したため、窃盗の現行犯で逮捕しました。

この男性は容疑を認めているようだが、セルフ式コーヒーの場合、ボタンを押し間違えるなどのミスも起こりえます。押し間違えた場合でも、罪に問われることはあるのでしょうか。

「押し間違え」は罪に問われない

窃盗罪とは、占有者の意に反して財物の占有を取得する犯罪です。

Sサイズのカップを購入したことで、店側が占有しているコーヒーにつき、Sサイズ分の量だけ占有を移転する権利を得ますが、Mサイズのボタンを押すことにより、店側の意に反した占有移転を実現したことになり、窃盗罪が成立します。

単にコーヒーマシンのボタンを押し間違えた場合でも、窃盗罪に問われることはあるのでしょうか。
押し間違えた場合には窃盗罪に問われることはありません。

窃盗罪は故意犯、すなわち犯罪行為と認識しながら、あえて行為に及んだ者を処罰する罪ですので、押し間違えといった過失犯は罪に問われません。

そうすると、捕まったときに「押し間違えた」と言い逃れができることになります。
本件でも、最初の犯行を確認した時点ではなく、注意の貼り紙までしているのにその後も同様の行為を繰り返したことから、「あえて行為に及んでいる故意犯」として刑事事件化したものとされます。

 

●単なる「押し間違え」は、犯罪にはならない
●注意をした後も同様の行為を繰り返すことで、「あえて行為に及んでいる故意犯」として刑事化されることがある
●店舗側も、注意する張り紙や警察への相談等で、相手に対して「注意をした」事実を確認できるようにする必要がある

  

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