兵庫県内で18歳未満の少女にみだらな性行為をしたとして、三重県在住の男性(41)が青少年愛護条例違反の疑いで兵庫県警に逮捕されました。
男性は2021年11月、兵庫県明石市内のホテルで、女子中学生(14)とみだらな性行為をした疑いがある。2人はSNSを通じて知り合ったといいます。
男性は「結婚を約束した真剣な交際だった」として容疑を否認。女子中学生も家族に対して「結婚を考えた真剣な交際をしている」と話していましたが、これがきっかけで女子中学生の両親が警察に相談したようです。その後、署員と話すうちに女子中学生も違法性を認識し、男の逮捕に至ったと報じられています。
互いに真剣交際だと認識していたカップルによるものであっても、みだらな性行為に当たるのでしょうか。弁護士に聞きました。
本当に「真剣交際」なら、みだらな性行為には当たらないが…
——女子中学生が14歳、被疑者が41歳ですが、行為当時、お互い「真剣交際」と認識していたようです。
18歳未満の少女との性行為等が禁じられる場合について判例上は、少女を「誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交又は性交類似行為」と、限定して考えられています。
したがって、少女と成人男性が、結婚を前提に付き合っているなど「真剣交際」をしているのであれば、みだらな性行為をしても問題ないということになります。
警察署員との会話で違法性を認識
報道によると、女子中学生は家族に対して「結婚を考えた真剣な交際をしている」と話す一方、警察署員と話すうちに「違法性を認識し(た)」ようです。
結婚を前提にした「真剣交際」かどうか、当人の本心は分かりません。ただ、本心を客観的に確認することは難しいので、当人たちがなんと説明するかが重要になってきます。
もし、当人たちがそれぞれ結婚を前提とした「真剣交際」と一貫して主張するのであれば、「みだらな性行為」とは認定しにくくなるでしょう。
今回の事例の詳細はわかりませんが、14歳の少女が「結婚を前提にした真剣交際」と思っていたとしても、SNSで知り合った経緯、二人の関係性、どういった会話ややり取りがあったのか、実際に会うようになってどれくらいの期間で性行為に及ぶようになったのか、少女が性行為や結婚の意味をどれくらい理解できていたのか、男性の女性関係(たとえば他の女性も誘っていた)などを考慮し、「結婚を前提にした真剣交際」とはいえない事情があったのかもしれません。
少女があとから違法性を認識したというよりは、心身ともに未成熟な14歳の少女は結婚を前提にした「真剣交際」というものをきちんと理解していなかったのではないでしょうか。
心身ともに未成熟な未成年との「真剣交際」とは
女性の婚姻適齢は、2022年4月には16歳から18歳に引き上げられます。男性には少女が18歳になるまで待つ覚悟があったのでしょうか。個人的には、そもそも心身ともに未成熟な14歳の少女と性行為に及ぶというのは少女を大事に思っていないのではないか、という印象です。
「真剣交際ならお咎めなし」といえば簡単なようですが、「真剣交際」というのであれば、少女の親の理解を得る努力など、それなりの真剣な誠意ある対応が伴わないと信用されないということです。
●未成年との結婚を前提としている等、「真剣交際」であれば、「みだらな性行為」とは認定しにくい。
●心身ともに未成熟な未成年は、大人が守るべき対象であり、結婚や交際について十分な理解をしていない可能性も高い。
●SNS等を通して、「大人」と知り合う未成年が増加傾向にあり、周りの注意が必要な場合が増えている。